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グレート・リタ/愚冷刀凛汰(逢坂鈴汰)のプロレス専門ブログ。団体は新日本、W-1。選手は武藤敬司、グレート・ムタ、飯伏幸太、棚橋弘至、中邑真輔、内藤哲也、真田聖也、その他新日本、W-1勢など。Twitter :@rita_osaka
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連載小説『RYUSEI』



序章







 隆也と内田は、順当に勝ち進んでいった。
 隆也の腕ひしぎが、内田の飛びつき腕十字が。
 並み居る男たちからことごとくタップを奪い、気が付けば、残っているのは隆也と内田の二人だけになっていた。
 そして、決勝。
 隆也の目の前には、凛々しくこちらを見据える内田晋太郎の姿。
 心臓が高く跳ねる。
 ピンと張りつめた糸が二人を一直線に結んでいる。
 その上に、ゆらゆらと危なげに揺れるものを、隆也は見た。
 それこそ、勝利。
 この男から勝利を手繰り寄せるのは、容易なことではない。
 いかに糸を切らず、勝利だけを手元に引き寄せるか。
――ああ、これが、「プロレス」なんだ。
 悟り、隆也は思わず笑みを浮かべた。
 きっと内田も同じ気持ちだったのだろう。
 にっと口の端を吊り上げ、隆也に視線を投げつけてきた。
(上等だ。俺だって冗談でプロレスラーを目指してるわけじゃない。しっかりプロレスをやって、プロレスで勝ってやる)
「始めっ!!」
 いつの間にか、試合が始まっていた。
 敗れていった参加者の、そして隆也や内田と同じくプロレスラーを志す者たちが、一斉に歓声を送る。
「新藤! 新藤! 新藤!」
「内田! 内田! 内田!」
 狭い空間に、張り裂けんばかりの声が轟いた。
「新藤さん」
 内田がすっと右手を差し出した。
 その手を握る。
 がっちりと。
「よろしくお願いします、新藤さん」
「こちらこそよろしく、内田さん」
 その結ばれた手が解かれたその時、勝負が始まった。
 中央から飛び下がり、腰を落とす。
 相手の一挙手一投足を見逃さまいと、集中力を研ぎ澄ませる。
 この試合では、打撃は禁止されている。
 つまり、突然ドロップキックやフライングニールキックといった、間合いの外からの飛び打撃が飛んでくることはない。
 決め手は慣れない投げ技よりも、やはり関節技。
 どちらが先に相手の体勢を崩し、有利なポジションを取るか。
 勝負はそこで決まる。
 つつ、と額から汗が流れ落ちた。
 それが瞼に伝わり、思わず瞬きした、その瞬間。
 内田が動いた。
 低い体勢で猛然と突進してくる。
 隆也も迎え撃つべく腰を落として足を踏み出した。
 手が触れ合う――。
 いや、触れ合わなかった。
 隆也の目の前で内田はマットを蹴り、大きく跳躍したのだ。
(なっ……!?)
 内田の体が降ってくる。
 覆いかぶさられるように、リングに倒れ込んだ。
 内田は素早く隆也の左腕をとり、捻り上げる。
(させるかっ!)
 素早く前転して体勢を立て直し、とられた腕を逆に捻り上げた。
 内田の腕を背中側にくの字に折り曲げ、自らの腕を差し込んで固める。
 チキンウィング・アームロックと呼ばれる関節技だ。
 隆也の関節技を振りほどこうと内田が身をよじる。
 隆也はそれを許すまじと力を込める。
 が、少し力を入れすぎた。
 力んだ隆也の腕の間をすり抜けるように、内田の体が踊った。
 両の脚で隆也の体を挟み込み、強引に倒す。
 そのまま腕ひしぎの体勢に入ろうとする――。
 今度は隆也がそれを拒み、両者は体を離して一度睨み合った。
 拍手が巻き起こる。
 それはさながら、プロレスの序盤の戦いのようで。
 隆也と内田は睨み合いながらも笑い合い、そして、再び戦いが始まった。






(つづく)

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皆さん、ごきげんよう。
愚冷刀凛汰でございます。


実はですね、
プロレス講座の次の連載をどうするか、まだ決めておりません。
今回も何か書こうかとも思ったのですが、
最近若干プロレスと疎遠になっておりまして(主に他にやることが多くて)、
何も思いつきません。
連載小説「RYUSEI」も、いよいよ序章のクライマックスに入るところで、
少し構想を考え直しているところであります。
なので、突然ながら今回は休載とさせていただきます。

楽しみにしてくださっている方には申し訳ございません。
次回更新間でしばしお待ちくださいませ。

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※今回からタイトルを変更しました。
以前の記事も新タイトルに修正します。


連載小説『RYUSEI』



序章







 若林康夫は、強かった。
 レスリング技術は隆也に分があったが、若林康夫の強さは技術ではない。
 分厚く鍛え上げられた体のタフさと、その中に宿る心の強さである。
 強い体に、強い心を宿した戦士。
 まさに『プロレスラー』そのものだった。
 その若林が。
 若林よりも、そして隆也よりも小柄な若者に、敗れた。
 立ち合いは、若林が優勢だった。
 その体格差を最大限に活かすため、大きく踏み込んで組み合った。
 すぐさま腕を相手の頭に回してヘッドロック。
 がっちりと抱え込む。
 決まった、と誰もが思った。
 しかし相手の若者は、ヘッドロックをかけられながらマットを蹴り、そしてポストを蹴り、宙を舞った。
 くるりと宙返りをするように、コーナーからリング中央へと飛ぶ。
 若林は体勢を崩されそうになり、思わずヘッドロックを外す。
 完全に自由になった若者は背後から若林の左腕に飛びつき、その太い左腕を抱いた。
 ぶら下がるように若林の左腕を伸ばす。
(飛びつき腕十字……!)
 実際のプロレスの試合で、それもジュニアヘビー級の一線級の選手が魅せるような、実に見事な飛びつき式腕ひしぎ十字固めだった。
 ここまで綺麗に決められて、それでもギブアップを拒んだ若林だったが、最後はレフェリーストップで若者に軍配が上がった。
 試合後、アイシングをする若林とそれを見守る隆也のもとに、対戦相手の若者がやってきた。
「あの、すいません。大丈夫でしたか? 思ったよりエグい角度で入っちゃって、申し訳なかったです。初めてやったもので、あの技」
 隆也と若林は目を見開いた。
 あの見事な飛び関節を、今日初めてやった?
「若林さんみたいな大きくて力のある人を、どうしてもグラウンドに引き込む自信がなくて。案の定あっという間にヘッドロックに取られたんで、これはもうやるしかないなと思ったんです」
「完敗です」
 若林の差し出した手を、若者はがっちりと両手で握った。
 深々と頭を下げて握手を終えると、若者は隆也に向き直った。
「新藤隆也さん、でしたね。一回戦の腕ひしぎ、お見事でした。俺は内田 晋太郎(ウチダ・シンタロウ)。ここ上田道場の門下生です。よろしくお願いします」
 すっ、と差し出される手。
 その手を、隆也は躊躇なく握り返した。
「谷口ジムの新藤隆也です。あなたとの勝負を、楽しみにしています。……決勝で会いましょう」
 内田は何も言わず、ただ笑顔でうなずいて、体育館の外へ去って行った。
(内田晋太郎……か)
 ふう。
 息を吐く。
 そこで初めて、自分の表情が硬直していることに気付いた。
 ぴしゃりと両手で頬を叩き、ストレッチを始める。
 次の戦いも、気を抜けない。
 しかし、心はすでに、その遥か先にいる内田晋太郎を見据えていた。
 




(つづく)

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こんにちは。
愚冷刀凛汰です。

いよいよ「初心者のためのプロレス入門講座!」も、今回が最終回となります。

最終回は「プロレスを楽しもう!!」。

プロレス観戦の根源にして究極です。

いかに技の名前がどうの、実況がどうの、と言っていても、
結局プロレスはハートで楽しむものなのです。

いろんなことを考えながらも何も考えず、震えるハートでプロレスを楽しみましょう!!

後は自然にいろんなことを覚えていくはずです。

お気に入りの選手を応援するもよし、色んな団体を見て回るもよし、
知識をつけるのもまたよし。

思い思いの手法で、プロレスを楽しんでください!




ここまでお送りしてきた初心者講座ですが、今回で終了となります。
拙い文章ではありましたが、この初心者講座をきっかけにプロレスファンが一人でも増えれば、
大変嬉しく思います。

次回からの連載については未定です。
連載小説を毎週更新にするかもしれないし、
別の連載を開始するかもしれません。
その辺はもう少し考えたいので、少々お待ちくださいませ。

それでは、またお会いしましょう。

愚冷刀凛汰でした!

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連載小説『RYUSEI』



序章







 開会の挨拶が終わり、組み合わせ発表。
 30分間の休憩・ウォーミングアップ時間の後、試合が開始された。
 隆也の出場は、第一試合。
 一発目から出番となる。
(望むところだ……!)
 ぐっ、と拳を握りしめ、そしてゆっくりと解いた。
 力が入りすぎている。
 リラックスだ。
 落ち着いて、自然体で。
 自然体で。
(……よし!)
 一歩一歩を大事に、リングに上がる。
 今大会のリングは、プロレスのリングと同じ。
 3本のロープに囲まれた、マットのジャングルだ。
 青コーナーのマットに陣取る。
 対角、赤コーナーに上がってきた選手は、隆也よりも分厚い体と、太い首と太い腕を持っていた。
 柔道家のような体つきだ。
 案外、本当に柔道をやっていたのかもしれない。
 レフェリーとして、上田信明がリングに上がった。
「打撃なし、3カウント、場外カウントなし。場外に出た場合は試合を一時中断し、両コーナーからの仕切り直しとする。勝敗はレフェリーストップ、またはギブアップのみ。もちろん投げ技はありだが、それだけで勝負が決まるわけではないことを忘れるな。いくら綺麗なジャーマン・スープレックスを繰り出したところで、カウントはない。あくまでこれは、サブミッション・レスリングの大会だ。いいな?」
 隆也と、相手選手が頷く。
「では、始めっ!!」
 カーン!!
 ゴングが打ち鳴らされる。
 その瞬間、隆也は確かに感じた。
 リングを取り囲む、超満員の観衆と、会場を埋め尽くす歓声。
 その、圧倒的なエネルギーを。
(……やってやる!)
 相手選手は腰を落とし、こちらをうかがっている。
 レスリングのような、柔道のような、独特の構え。
 まともに力比べをすれば、隆也は絶対的に不利だ。
(なら!!)
 隆也は突進した。
 その隆也をとらえようと、相手選手が手を伸ばす。
 突き出された2本の太い腕。
 目でその腕の動きを追いながら、隆也はがくんと膝を曲げた。
 膝から崩れ落ちるかのように体勢を低くし、腕を潜り抜ける。
 滑るように相手選手の胴に手を回し、両脚を強く踏ん張った。
「だあああっ!!」
 叫び、相手の分厚い体を引っこ抜くように持ち上げ、自ら後ろに倒れ込むように投げ捨てた。
 ひどく不格好な投げだ。
 フロント・スープレックス……いや、正面からのバックドロップのような形か。
 が、今は形にこだわっている場合ではない。
(どうせちゃんと練習していない俺達に、綺麗な技なんてできやしない。とにかく勝つために、相手にダメージを与える投げを!)
 素早く立ち上がり、飛びかかるように相手選手に覆いかぶさる。
 相手の右腕を自分の胸に押し付け、脚をかけて後ろに倒れ込む。
 腕ひしぎ十字固め。
 若林とのスパーリングで鍛えられた、隆也の十八番である。
 相手は何とか振りほどこうともがくが、がっちり極まっている腕を外す力はない。
 シンプルだが、一度極まると抜け出すのは困難。
 それが、腕ひしぎ十字固めという技だ。
 耐えかねた相手は、空いている左手で隆也の膝を数回叩いた。
 タップである。ギブアップの意思表示だ。
「そこまで!!」
 今度は試合終了のゴングが打ち鳴らされ、隆也は技を解いた。
 相手選手は極められていた右手をさすりながら、ゆっくりリングを降りて行った。
 その後ろ姿に一礼し、隆也もリングを降りた。
 わずか1分ほどの試合だった。
 が、隆也の全身には大粒の汗が浮き出ていた。
 スパーリングとは次元が違うほどハードだった。
 たかが1分で、この汗の量ならば、20分30分と戦うプロレスラーの体力とはいったいどうなっているのか。
 わずかに芽生えた不安をスポーツドリンクと一緒に飲みこみ、隆は第2試合  若林康夫の試合に目を向けた。
 相手は……。
「あいつは……!」
 若林と向き合っていたのは、開会挨拶の時に隆也とにらみ合った、あの若者である。
 体の厚みも、線の太さも、若林が上である。
 しかし若者は、先ほどよりも大きなエネルギーを体中に充満させているような、そんな威圧感に満ちていた。
「始めっ!!」
 ゴングが、鳴った。






(つづく)

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プロフィール
HN:
グレート・リタ
年齢:
895
HP:
性別:
男性
誕生日:
1129/10/16
職業:
アマチュアプロレス論者兼アマチュアプロレス小説作家
趣味:
プロレス観戦とプロレス論の構築、プロレス小説の執筆
自己紹介:
要するにただのプロレス好き。
詳細プロフィール、連絡等はTwitterに。
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